国内の資源回収や集団回収により回収された古着・古布は、故繊維業者によってリユース
向けの中古衣類、リサイクル向けのウエス、反毛に分類され、中古衣類はさらに細かい選別
を経て再商品化される。業者によって再商品化プロセスのどの段階で輸出を行うかは異なっ
ており、再商品化された中古衣類の一部は、海外からの再輸入を含めて国内のリユース
ショップ向けに販売されているが、最終的な販売先は大半が海外であり、国際的なリユース
が行われている。
日本からの主な輸出先は、近年はマレーシアや大韓民国となっており、統計データに基づく
輸出単価及び故繊維業者へのヒアリングから、これらの国については現地で再商品化に至る
細かい選別が行われた後に、第三国に再輸出されている可能性が高いと考えられる。
また同様に、シンガポールやカンボジアは、再商品化された状態で輸出され、第三国に再輸出
されている可能性が高い。いずれも、再輸出先や最終消費地については、現状ではほとんど
把握されていないのが現状であった。
リユース、リサイクルができずに廃棄される中古衣類の処分方法は、国内では主に焼却に
よって、東南アジアでは主に埋立処理が行われていると考えられるが、廃棄される量の割合は
故繊維業者によって異なるが、多くが数%程度とわずかであると言われている。廃棄される
量をさらに減らすためには、汚れたものや濡れたものを入れない、雨の日に回収しないな
どの、住民・市町村による排出・回収時点での周知徹底が求められている。
今後の中古衣類の需要は、日本からの中古衣類の品質に対する評価が高まっていることや、
途上国における経済発展が進むことで購買層の拡大が予想されることから堅調であると考えられ、
回収量の増加を望む故繊維業者は多い。一方で、市民からの主要な回収ルートである資源回収
及び集団回収を実施している市町村は、4割に留まっており、回収量の拡大余地は大きいと
考えられる。今後の中古衣類のリユース促進に向けては、異物混入防止の徹底と合わせて、
市町村による回収の拡大が期待される。